二人だけのベタな夜

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部屋に着き、ベッドに寝転び目を閉じる。 そうすることで訪れた静寂。 …雨音が聞こえる。 気付かなかったけど、雨が降ってるみたいだ。 あぁ、ホラー映画観た後の雨の夜って、咲さんますます怖がってるだろうなぁフヘヘ。 分かる分かる、こう言う時に限ってなんか窓の外めっちゃ気になるんだよなぁ。 カーテンの微妙な隙間から見える雨の暗闇から、なーんか突然現れるような気がしたりするんだよなぁ。 …………。 ……あれ?なんか俺も怖くなってきた。 春馬『…いやいやお化けなんかないさお化けなんか嘘さ。』 そう口にして、気持ちをリセットしてもう一度目を閉じる。 と、丁度その時ーー ガタッ と、突然大きな物音が響いてきて、思わずベッドから飛び起きる俺。 春馬『な、何?咲さん?』 …ど…どうせ咲だろ…。 ……うん……そうだよ…。 ガタッ ……ちょっ……咲だよね…? 少しタチが悪いよ…? ガチャッ 警戒レベルを上げていると、突然部屋のドアが開いたもんだから俺はビックリして部屋の隅へ退避。 咲『ハル…!ちょっと…っ!』 春馬『びび…びっくりさせんなよ…!』 そのドアから顔を覗かせたのは咲。 咲はパジャマ姿で毛布を身体に巻いて、よく分からんが防御力高そうな装備。 咲『さっきからなんか物音がするんだけど……』 春馬『…え……お前じゃねぇの……?』 咲は涙目で首をふった。 ……あれ……?じゃあ何……? 咲『…こ…怖いんだったら……ココにいてあげよっか…?』 春馬『…お…おいおい……お前こそ……』 咲はササッとドアを閉め、部屋の中に入ってきた。 意味する所は、安全が確認できるまで一緒にいようという意だろう。 春馬『……寝る時は自分の部屋行けよ…?』 咲『分かってるわよっ!』 涙目で怒る咲。 でも、あの物音はなんなんだろ……。 とりあえず俺は自分のベッドへ戻り、落ち着く為に寝転がる。 咲『…ハルが幽霊の話なんかするから…!』 春馬『…いやそもそもホラー映画であんな怖がる方が悪いし、もっと怖がらせたくさせるお前が悪い。』 中々の暴論に、咲はまたキッと強い目で俺を睨む。が、 ガタッ と……また物音がした。 咲『……ゆ…幽霊じゃ…ないよね……?』   咲が真剣に泣きそうな声で聞いてくる。 ごめん。俺も怖いんだ。 …しばらく沈黙の時間が続いた。 雨の音だけが聞こえる……が、その沈黙も咲が破る。 咲『…もう無理……!』 咲はそう言って、無理矢理にベットに侵入してきた。 春馬『え!?何してんの!?お前そんなキャラじゃないだろ!?』 咲『もう無理!怖いっ!』 あ、やっと正直に怖いって言いやがった。 寝転ぶ俺の背中にピッタリくっつくように、咲はその身体を俺に押し付ける。
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