二人だけのベタな夜

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春馬『…男のベットですよ…?』 咲『…うるさいっ!』 いやうるさくないよね? 完全に今の俺正しいよね? モゾモゾ動いて、咲は俺に背中を向けるような体勢に。 ……って結局ココで寝る気かよ!? それはいくらなんでもヤバイでしょ!? 俺達一応男と女ですし!? 春馬『この状況よく考えたらホラーよりエロの方が強くない!?そういうタイプの心臓の負荷は未経験だからキツいよ!?』 咲『何言ってんのよいいから黙ってて!!』 黙ってたら黙ってたで余計に変な空気ならない!? ま、結論から言うと咲のワガママを聞いた俺は、咲が寝るまでずぅ~~~っと無心で壁を眺め、ぼぉ~~~っとしてた。 背中から聞こえる寝息からして、咲も多分もう寝ただろう。 なんか……もうここまでくると、あの物音とかどうでもよくなる。 今考えたらあの物音は普通に風の音だったんだろうな。 これだからホラー映画の後の夜は困るんだよなぁ。 自分の不幸と地球温暖化を深くかみしめながら、ひとつため息を吐いてから眠りについた。 翌朝。 瞼を開けると、目の前には小さな顔と綺麗な髪の美少女の寝顔が。 アホ面でそれをしばらく眺めて、今の状況を把握する。 ……なんで向かい合って寝てんの俺たち?ラブラブカップルか?事後か? その観察タイムもすぐ終わる。 目の前の眠れる美少女が、その瞼をゆっくりと開けたからだ。 咲は寝ぼけ目で俺をまじまじと見つめている。 ……ん?ちょっと待て、このパターンもしかして…… 春馬『……落ち着けよ、この状況は俺じゃなくてお前がーー』 咲『いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』 耳をつんざく悲鳴と、寝起きとは思えないとんでもない威力のビンタにより……俺の目は完全に冴えたのだった。 腫れた頬を冷やす為に洗面所へ向かい、そこで冷水を顔に浴びる俺。 その時、洗面所の天井から昨日聞いた音と同じドンっと音が響いた。 気になって、そこにある屋根裏への天井ドアを開けてみる。 椅子を足場にしてそのまま屋根裏へと顔を突っ込む。 すると、その屋根裏の中に……どこから迷い込んだのか、3、4匹ほどの猫がいた。 春馬『……昨日の物音はお前らが原因か。』 昨夜の雨の雨宿りでもしてたんだろう。 どこかからこの野良猫一派が侵入してきて、そのせいであんなホラーな物音が響いたんだな。 …ちょっと安心した。 これを咲にも教えてやろう。 アイツ、猫好きだし。 これで機嫌でも直してもらうとするか。 足取り軽く、その幽霊の正体を咲へ伝えに行ったのだった。 幽霊の、正体見たり…屋根裏の猫。  
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