能ある鷹は爪を隠す

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由紀『私の家が合気道の道場みたいなのしててさぁ、私もその技術が身に付いてるんだよ!』 春馬『マジでこういう系の女の子っているもんなんだなぁ。』 今日一日で最強番付が色々更新されてくわぁ。 今朝活躍してた大雅が霞むわぁ。 由紀『じゃあ私が第二走者ってことでいいかなトラ!』 大雅『…………。』 しばらくの間、大雅は地面に伏したまま動かなかったのだった。 コイツのプライドズタズタなんだろうなぁ。 なんやかんやあり、お祭りである体育祭当日。 うだる暑さに目を死なせる俺。 同じように、隣には珍しく目を死なせてる大雅。 あの日由紀に敗北してからというもの、大雅の瞳は輝きを失っていた。 春馬『……なぁ、お前ただでさえ見た目で損してんのにその上お茶目なトークすらしなくなったらマジでただのソッチ系だぞ?大丈夫?』 大雅『俺ぁかっこ悪りぃ男なんだよ…もうほっといてくれよ…』 うわぁだっるぅ。 自信喪失している大雅。 もちろん特に励ます気はないんだが、このままだと立花先生に託された学年対抗競技にまで影響する。 なので、その辺にいた咲と由紀を手招きした。 春馬『この馬鹿を励ましてくんない?俺は生理的に嫌だから頼むわ。』 咲『私だって嫌よ生理的に。』 由紀『二人して傷を抉ってくよねぇ!!さっすがドSっ子!!』 いや無気力系の俺が同じように死んでるコイツ励ます絵面キモくない? やれやれとわざとらしく首を振り、由紀は大雅の前に立つ。 由紀『トラ、第三走者で一位になって優勝したらめっちゃカッコいいよ!多分モッテモテになるよ!これはチャンスなんだよ!』 春馬『お前も大概適当だよな。』 が、それを耳にした大雅は伏した顔を上げて由紀を見る。 大雅『……カッコいい…?そうか、優勝すりゃカッコいいのか!?優勝すりゃ俺はカッコ悪くなくなるじゃねぇか!!』 春馬『何だこいつ単純過ぎない?』 その程度で復活するならこの数日のネガティブ感なんだったの?頭悪いの?
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