能ある鷹は爪を隠す

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それからその学年対抗競技の時間となり、第一走者である俺はスタート位置に立っていた。 ちなみにめっちゃ心臓バクバクしている。 なにこれ超緊張するじゃんめっちゃ注目集めてるじゃん。 みんなももしかして俺運動神経良いとか思ってる? んなことないよ運動音痴だようんちだよ。 そうこうしてる間にスタートの合図の乾いた音が鳴り響き、俺は走り出したのだった。 その後、第一走者のゴール地点で死んだように転がり倒れる俺がいた。 大雅『やるじゃねぇかハル!1年なのに2年3年と距離対して離されてなかったぞ!』 春馬『結果的にビリだった男にそんな優しさ向けないで!!疲労も相まって泣きそう!!』 コヒューコヒュー言いながらツッコむの死にそうもう喋らん!! 第二走者である由紀は、あの体格からは想像がつかないくらいのスピードで走っている。 このペースなら、一位で第三走者にバトンを渡してしまいそうだ。 大雅『まぁあとは任せなハル!俺が一位を掻っ攫ってやるぜ!!』 春馬『……フラグくせぇ……。』 絶対無理だろ1200mとか…。 第二走者の由紀は、マジで一位で第三走者へバトンを渡した。 だから大雅は一位の状態で走り出すという最高の走り出し。 走り終えた由紀は、疲れた様子なく俺の方へ駆け寄る。 由紀『いやぁしんどいね!久々にあんな走ったよ!あとはトラに任せるとして、私らは精一杯応援をしようじゃないかハル君!』 春馬『え、疲れてなくない?めっちゃ喋ってない?体力無尽蔵かこのチビ属性モリモリか?』 このバケモノ体力あるんならコイツが第三走者した方が良かっただろ絶対。 結果を報告しよう。 大雅はマジで一位で走り抜け、我々一年生が優勝した。 まじで一位になるとは思わなかった。 じゃあその大雅はどうしてるのかと言うと…… 春馬『大雅ぁーー!!た、大雅ぁーー!!』 大雅『……………。』 大雅は顔面真っ白にさせて、ビクンビクンと脈打ちながら地面に倒れていた。 打ち上げられた魚みたいで超面白かったけど笑ったら流石に可哀想だから堪えとこう。 しばらくして、流石にやべぇと察した大人たちが、大雅を担架で担いでそのまま馬鹿は保健室へ搬送されていった。 それを敬礼で見送る俺。 内心はめっちゃ爆笑していた。
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