立てば芍薬、座れば牡丹、笑う姿は初恋草

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大雅『まぁ容姿では有名になってたよなぁアイツ!』 蓮寺『手ぇ出そうとして砕け散ったチャラ男は数知れずだしな!俺含めて!』 アンタ含めるのか…。 アイツモテるんだなぁ。 …俺が出会った数少ない人間関係の中では、確かに一番の容姿かもしれないし、よく考えたら当然なのかね。 蓮寺『まぁこの学校には"アイツ"がいるからナンバーワンにはなれねぇかもしんねぇけどな!』 春馬『"アイツ"?それってーー』 『あーー!!レン見つけたーー!!』 俺らの会話に割り込むように、そんな女性の声が食堂内に響いた。 それを耳にした蓮寺先輩は「げ」と顔を顰める。 そうしてる間に、俺らのテーブルの前に一人の女性が駆け寄ってきた。 蓮寺『麗奈(れな)、なんでここに…!!』 その女性を麗奈と呼び、あからさまに嫌そーな顔をする蓮寺先輩。 その女性ーー麗奈さんは、蓮寺先輩をキッと睨む。 麗奈『お昼休みは文化祭の準備進めるって約束だったでしょ!サボってるレンを探しにきたの!!』 レンって、蓮寺先輩のことか。 蓮寺先輩と対等に会話してる辺り、この麗奈さんも多分先輩なんだろう。 女性にしては高身長で、長い手脚に抜群のスタイル。 長く綺麗な黒い長髪と、美が凝縮されたようなメチャクチャ綺麗な顔。 麗奈さんは、信じられなくらいの美人だった。 麗奈『あれ?この子たちは?』 一通り怒った麗奈さんは、次に俺たちへ視線を向けた。 大雅『どもっす麗奈さん!大雅です!』 麗奈『あー大雅君!と……もしかして春馬君?』 春馬『なんでこんな名前広まってるの怖っ』 麗奈さんは俺を見てはニコッとキラッキラした美しい笑顔を向ける。 金取れるレベルの笑顔。 麗奈『優から聞いてるよ!この前はありがとね!あたし藤森(ふじもり) 麗奈(れな)!よろしく!』 春馬『え?あ、はぁ…』 優先輩の名前を出されて、首を傾げる。 この前?何の話? 俺らが会話をしている隙に、蓮寺先輩はそろーりそろーりとこのテーブルから退避しようとしていたがーー 麗奈『逃がさないよレン!!』 蓮寺『いやだぁ!!文化祭は実行するサイドじゃなくて遊ぶサイドがいいんだぁ!!』 その蓮寺先輩の腕を掴んで捕らえる麗奈さん。 ふくよかな胸を腕に押し当てられてて超羨ましいけど、蓮寺先輩はマジで逃亡しようともがいていた。 どんだけサボりたいんだよこの人。 麗奈『じゃね二人とも!また!』 大雅『さよならぁ!』 去り際もニコニコと笑顔で手を振り、俺らの目を保養する麗奈さん。 連行されていく蓮寺先輩にも手を振ってそれを送り出した俺ら。 春馬『…あっ!!麗奈さんってまさか優先輩の彼女か!!今更気付いたわ!!』 大雅『そうだぞ!!目ん玉トロけるくらい美人だろあの人!!』 いやほんと何もしてないけどお金払いたくなるくらいには美人だったわ!! あれが優先輩の彼女かぁ。 超お似合いじゃん。最強カップルかよ。 容姿という点で今まで出会った中での一番は、たった今、咲から麗奈さんへと更新されたわ。
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