立てば芍薬、座れば牡丹、笑う姿は初恋草

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色々あって、文化祭当日。 楽しげな雰囲気に包まれた校内。 制服だけでなく、私服の人たちも混ざるイレギュラー感。 この日は郊外からも人が来て文化祭を楽しむらしい。 由紀『ハル君!文化祭いっしょにまわろー!』 俺のもとへ駆け寄り俺を誘う由紀。 その後ろで咲が嫌そーに顔を目を細めている。 普段から一緒にいるのにまだそんな俺のこと嫌ですか?嫌ですかそうですか泣きそう。 大雅『よっしゃじゃあ2年がやってるお化け屋敷行こうぜ!!』 春馬『お化け屋敷?なにそーー』 咲『幽霊を装って人を脅かすアトラクションよ。』 聞くより先に答えを教えてくれる辺り、コイツも俺の扱いに慣れてきてんな。 というわけで2年の廊下はやってきた俺たち。 わいのわいのと盛り上がる人混みを見て、めっちゃ顔を顰める俺。 何だこの人混み帰りてぇ家に帰りてぇ。 お化け屋敷ってこの教室?めっちゃ並んでんだけどやだぁ僕帰るぅ。 優『お、春馬君たち!』 そんな俺らに声を掛けてくれた人。 その声の方へ振り向くと、そこには相変わらずのスマイルを向けた優先輩。 春馬『お久しぶりです。この教室って優先輩んとこですか?』 優『はは、そうだよ。結構クオリティ高いから怖いよ。』 大雅『マジすか!おっしゃ並ぶしかねぇな!』 由紀『私も!行こうかトラ!』 あの長蛇の列に並ぶ大雅と由紀。 俺と咲はもちろんステイ。あんな列並んでたまるか。 麗奈『あっれ!咲ちゃんと春馬くんだぁ!』 そんな俺らに続いて声を掛けてきたのは、麗奈さん。 麗奈さんは俺らのそばまできて、ニコニコと笑顔を向けてくれる。 …優先輩と麗奈さんのツーショットだ!すげぇ!! 咲『あ、初めまして…って、私のこと知ってるんですか?』 麗奈『えー、有名だし知ってるよ!かーわいいなぁ噂通りだぁ!』 咲の頭をよしよし撫でる麗奈さん。 なんだろう、眼福な光景だ。 麗奈『あ、そうだレン知らない?』 優『いや、そういえば見てないな。どうせナンパじゃないか?』 春馬『この空間でナンパしてんのかすげえなあの人…』 チャラ男の名は伊達じゃねぇな。 優『じゃあ俺は実行委員の仕事あるから戻るよ。じゃあまた。』 麗奈『えー!?優もうちょっと付き合ってよぉー!?』 美男美女のやりとりを眺めて拝む俺。 ありがたやありがたや、こりゃ視力も回復するわ。 優先輩が去り、残された麗奈さんはくるっと振り返って俺らへ笑顔を向けた。 麗奈『ねぇ二人とも、暇?だったら私と一緒にレン探しに行かない?』 春馬『ぜひお供させていただきます。』 咲『即答なのね…』 そりゃ美女からのお誘い断ったらバチが当たるからな、男共の怨霊的なバチが。
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