立てば芍薬、座れば牡丹、笑う姿は初恋草

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麗奈さんに連れられて、校内を歩く俺ら。 その間も麗奈さんと会話に花を咲かせて、その魅力に取り込まれてしまいそうになる俺。 麗奈さん、すごく大人っぽい容姿なのに、表情をコロコロ変えるし、よく笑うし、体の動きだって子供みたいに激しくて… …なんというか、凄く接しやすい。 超がつく美女だしなんか喋り辛いイメージからのギャップが、またこの人の魅力なんだろうなぁ。 咲と麗奈さんが楽しそうに会話しているのを、その後ろを歩きながら眺める俺。 …行き交う人々が、麗奈さんに視線を奪われている。 まぁこんな美女が通るとそうなるわなぁ分かる分かる、視線泥棒だよなぁ。 春馬『美女ってのは罪なもんだなぁ…』 蓮寺『いやぁ咲ちゃんも十分視線奪ってるよ男共の。』 春馬『そっすか?割合的に9:1くらいじゃーー』 ……ん? あまりに自然な感じで混ざってきたもんだから、すぐ隣に蓮寺先輩がいたことに気付かなかった。 春馬『なにしてんすか。』 蓮寺『ナンパしてた。んでお前ら見つけたから。咲ちゃんと麗奈のツーショットなんてレアだぞー眼福だぞー視力回復するぞー。』 思考が俺と似てる嫌だこの人。 だがまぁ分かる。多分俺今目がプルプルに潤ってるもの。 蓮寺『荊姫と初恋喰いのツーショット、写真撮って売れば稼げそうだなぁ。おいちょっとカメラ貸せよ春馬。』 春馬『ゲスいゲスいよ先輩。つかなんすかその二つ名的なの?異名ですか能力者ですか?』 日常生活でそんな異名付く? カッコいいから俺にもつけてほしいんだけど誰に頼んだらつけてくれるの? 春馬『そういや前も、咲のこと荊姫とか言ってましたね。』 蓮寺『あぁ、そりゃそのまんまで、触れる男を悉く傷付けるからチャラ男界隈ではそう呼ばれてんの。』 なにその界隈こわい。 でも分かる、俺も傷付けられてるズタズタにされてる分かる。 蓮寺『男に対して冷たいから、言い寄ってくる男はそんなの構わんチャラチャラした奴ばっからしくてなぁ。そのせいで咲ちゃんの荊っぷりがますます加速してく悪循環なわけ。』 春馬『へー。苦労してんだなぁアイツも。』 確かに純粋な男はあんなトゲトゲしい女の子、恐くて近寄らんわなぁ。 蓮寺『対して麗奈は、見ての通り誰にでも気さくでフレンドリーだろ?チャラ男的にはあぁいう完璧すぎる女は隙がないから狙わないんだが、普通ーの男はハート射抜かれるんだよなぁ。』 春馬『チャラ男視点なのどうにかなりません?』 と言いつつ、前を歩く麗奈さんの背中を見て、それも納得する。 絶対に手が届かないって思うくらいに完璧な麗奈さん。 なのに、あんな人懐っこそうな性格してる。 蓮寺『まぁあんな性格してるから、大抵の男は恋に落ちるんだよなぁ。で、ついたあだ名が初恋喰い。』 春馬『こわぁ。俺の初恋も喰われるところだったわけっすね。』 魔性の女ってあぁいう人を言うんだなぁ。 ボーっと二人の背中を眺めて、ふと思う。 …咲って、そんな人気なのか。 いや、まぁ、容姿はいいから分かるけど。 なんつーか、変な気分だ。
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