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咲と大雅がダメ、となると、残されたメンツ的に…
由紀『………。』
春馬『…まぁ、俺の流れだよなぁ。』
男女差別反対。
貞子『…では、お願いします…』
春馬『ちなみに危険はないよね?死なんよね?』
俺の問いに返事をせずに、貞子(仮)は猫のぬいぐるみを俺の胸に当てる。
春馬『お願い返事して?危険性がないことだけ約束して?何も起きてない現状でも泣きそうな俺を安心させて?』
貞子『……えいっ……』
俺の言葉はフル無視で貞子(仮)は可愛い掛け声と共にぬいぐるみをグッと押す。
あれこの人俺の声聞こえてない?わざとか?わざとなんか?
貞子『…これで悪霊はそちらの方の身体に移りました。』
春馬『軽すぎない!?そんな感じ!?』
そんなんで移るもんなの悪霊って!?物理的な圧しか感じんかったけど!?
テンション上げてツッコむ俺だが、大雅と由紀は俺から若干距離をとりだした。
咲はずっと部屋の隅っこに退避していた。
春馬『なんなのお前らその身をささげた俺にもうちょい優しくしてもバチあたらんよ?』
由紀『いやぁ、念のため?』
大雅『俺まだ死にたくねぇし!』
なんだこいつら最低か?
要件を終えた貞子(仮)はペコリとお辞儀して帰ろうとする。
春馬『待ってくれ。最後に、あんた名前は?』
気になったので、最後にそれを尋ねる。
貞子『……貞子です。』
春馬『そのまんまかよぉぉぉぉ!!!』
俺のツッコミのみ響く部室。
貞子が去り、残された俺たち。
俺はソファに座っているんだけど、周りの奴らはそれを警戒するように離れた場所に座る。
春馬『…あのさ、1番恐怖感じてんの誰だと思う?俺だよ?少しは優しくしてあげようとか思わない?』
咲『今日は絶対私に近寄らないでね声もかけないでね。』
辛辣すぎない?特に何も起こってないのにすでに心鬱なんだけどな何これ呪い?
由紀『まぁ確かに、何も起きてないのにビビっちゃハル君かわいそうだよね!ごめんごめん!』
そう言って、由紀は俺の隣に座ってくれた。
あぁ!なんて心優しいんだこのちびっ子は!!
春馬『ありがとう由紀!!おら見てみろテメェら!!本当の友達ってのはこういう奴のことを言うんだよぉ!!』
咲『私とハルは別に友達じゃないから問題ないよ。』
あっそうだったんだ衝撃の真実泣きそう!!
大雅『俺は何か起こった時の為に常に警戒する役だ!仕方ねぇんだ!!』
春馬『何か起こるの前提なのがすでに腹立つわ!!』
由紀『あっ…あの、ハル君…?』
怒りのツッコミを入れる俺へ、由紀が何故だかぎこちなく声をかける。
らしくないその声色に首を傾げながら由紀へと振り向く。
由紀『あの…手、握って…ど、どうしたの?』
春馬『…手?』
言われて自分の手元へ目を向けると、俺の左手は横に座る由紀の右手をギュッと握っていた。
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