呪いってマジ怖い

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咲も対抗してくれればいいのに、戸惑ったまま固まって動かない。 だから俺が気合いに気合いを入れて身体に力を入れるがーー 春馬『うおっ!?』 咲『きゃっ!?』 ヘンに抵抗したせいで、俺たちはバランスを崩してそのまま廊下の床へと倒れ込んでしまう。 しかも倒れ方がよくなかった。 咲が下で、俺が上。 まるで、俺が咲を押し倒してるような図。 咲『あ…あの、ハル…?顔、近いんだけど…』 目の前に、耳まで真っ赤にさせた咲の顔。 全く動かない俺の身体だけど、悪霊の意志なのか、その身体がまた動こうとする。 悪霊が何をしたいのか、なんとなく分かった。 春馬『…多分なんだけどさ、キスしようとしてるんだわコレ。』 咲『……はぁっ!?ちょっ、ちょっと待って!?』 いやこの感じ絶対そうだろ。 そう告げても、咲はますます顔を赤くさせるだけで逃げない。 いや、逃げれないのか? 何にしても、やべぇ状況。 咲『ちょっとハル、抵抗してよ!?わ…私とキスしちゃうかもしれないのよ!?』 春馬『いや、もう全く言うこと聞かんのよ…』 必死の抵抗でこのまま停止してるだけで、もうそれも無理そう。 目の前に、咲の顔。 小さくて、でもトゲがあって、気が強そうだけど…案外優しい顔。 あぁ、こりゃぱねぇかも。 春馬『…キス、しちゃったらゴメンな。』 咲『…………。』 そう告げて、その抵抗の力をなくす俺。 咲も、顔を真っ赤にさせて…目を閉じてしまう。 いや、それはあかんでしょ。 そんなんされたら、俺だってーー 春馬『…………?』 抵抗をやめたのに、俺の体は動かないまま。 試しに、右手を動かしてみた。 ……動いた。 ……あれ?いつの間にか動かせるようになってる? つまり、もう悪霊がいなくなった? 春馬『ーーよっしゃぁぁぁ!!!』 咲『えぇ!?なっ、なに!?』 突然俺が咆哮して立ち上がったもんだから、すぐそばにいた咲は目を空けて驚いていた。 悪霊に勝利したぞ俺は!!やったぜ完全勝利だぁぁ!! 春馬『体動くようになった!多分いつの間にか0時過ぎたんだ!』 咲『あ……そ、そうなんだ……』 倒れてる咲に手を差し伸べ、咲はそれを掴んで立ち上がる。 それから、急にツーンと不機嫌な顔をして俺に背を向けた。 咲『……ドキドキして損した。最低。』 春馬『はぁ!?いやあのままだとマジでやばかったんだぞ!?』 そう言っても咲はそっぽ向いたまま。 まぁ、もう終わったんだしいいか。 安心して、とりあえず咲に謝罪だけして部屋へ戻ろうとした時ーー ……俺の手が勝手に、咲の尻を触っていた。 俺の意志とは別に動いて、なでなでと優しく尻を撫でる手。 春馬『…………。』 咲『………ねぇ。』 汗をかく俺と、顔だけ振り向いて鬼の形相に変わっていく咲。 部屋の中の時計に目をやると、今丁度夜中の0時になったところだった。 つまり、悪霊はあの時点で成仏してなくて……今まさに、最後の力を振り絞って咲の尻を触って天へ召されたようだ。 春馬『……ゴメン。』 咲『……いいよ。』 汗まみれの顔で謝ると、咲はニコッと笑って許してくれた。 咲『……一発だけで許してあげる。』 春馬『へ?ーーへぶぇ!?』 次の瞬間、咲の平手打ちによって俺の体は吹き飛んだのだった。 全然許してくれてなかったわ!!
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