いつも月夜に君の飯

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ーーテスト。 この世には、期末テストなるものが存在するらしい。 その地獄の試練を乗り越えると、冬休みなる長期休暇は突入するみたいだ。 いや俺は知らんけど、皆はテンション上がってる。 前回のテストは散々だった。 だから、今回はマジで頑張ろう。 そう決意して望んだ期末テストだがーー 春馬『えっぐ。』 返却されたテスト結果を見て、ゲボ吐きそうになった俺。 つまり今回もなかなかひどい。 咲『ハル、相変わらず英語だけは点いいよねぇ。』 帰り道で、沈む俺に対して励ましてんのか煽ってんのかよく分からんことを言う咲。 春馬『……海外に住んでたからな俺。』 咲『……海外に、ねぇ。』 そう言って、咲はジッと俺の顔を見つめた。 春馬『…何?求愛?照れるよ?』 咲『……なんでもない。』 俺の冗談に怒りもせず素っ気なくそっぽを向く咲。 なんだこいつ、ユーモアを磨けユーモアを! 今の世の中、テストの成績なんかよりユーモアが問われるんだぞ! つまりテストの結果なんか気にしなくていいんだぞ! 俺にはユーモアがついてるから!! 咲『もうすぐ冬休みだね。』 春馬『冬休みってなんなんだ?皆めっちゃテンション上がってるけど…』 それを問うと、咲は"またかよコイツ"という呆れた顔をする。 春馬『いや長期休みなのは分かるよ!?察するよ流石に!?なんでそんなテンション上がってんのか分からないだけだよ!?』 咲『…イベントが沢山控えてるからでしょ。』 そう言われて首を傾げる。 イベント? 咲『クリスマスと、年末の年越しと、お正月。これが冬休みに詰まってるから、他の長期休みよりワクワクしてるんだと思うよ。』 春馬『はぁ。そっか、そういうイベントって普通はワクワクするもんか。』 俺が実家にいた頃は、そんなのただの名前だけのイベントで……あのクソつまんねぇ毎日が何か変わるわけでもなかった。 だから、そういうイベント事が楽しみって感覚、俺にはなかったなぁ。 そんな俺の様子を、またも咲がジッと見つめていた。 春馬『…何?また求愛?俺はちゃんと言葉にしてほしいタイプよ?言葉にしないと不安になるタイプの乙女よ?』 咲『……なんでもない。』 またそっぽを向く咲。 何だコイツ、まじでユーモアねぇな!! ユーモアが世界を統べる日も近いんだぞ!! 勉強なんかしてる場合じゃねぇユーモア磨くぞユーモアを!! そうしてこのクソみたいな成績から全力で目を背けるぞ!! そうやって、俺はこの期末テストの結果から逃避することにしたのだった。 あー辛。
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