いつも月夜に君の飯

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翌日。 今日は学校が休みなんで、朝遅くに起きて朝食をとり、そのままリビングのソファで体を溶かしてダラけていた。 咲『ハル、ちょっと立ってみて。』 春馬『んえ?なんで?』 突然咲にスタンドアップを強要され、めんどくさがりながらも立ち上がる。 咲『…前から思ってたけど、ハルってその服のサイズ絶対合ってないよね?』 春馬『え?あー、まぁ確かにダボダボ感否めんなぁ。』 俺が使わせてもらっている私服と寝巻き。 これは、俺の部屋…というか、咲のお兄さんの部屋にあったものを拝借してる。 つまりサイズは咲のお兄さんサイズなので、俺サイズというわけではない。 そりゃ全然サイズ違うってわけじゃないから俺としては不満は全くないんだけど。 咲『私が気になる!なんか見てて恥ずかしい!』 春馬『えぇ…なんかゴメン…』 休日の朝っぱらから私服ディスられるのめっちゃテンション下がるなぁ…。 咲『今からハルの服買いに行こ。どうせ暇でしょ?』 春馬『え?あ、うん。お願いします。』 咲に提案され、流されるがまま頷く俺。 まぁゴロゴロ暇持て余すよりは、街中へ繰り出して未知を探索する方が楽しそうだ。 咲と外へ繰り出して、向かった先はなんかやたらとオシャレな雰囲気がある大きな商業施設。 見渡せばオシャレなカフェだのオシャレなスイーツ店だのオシャレなブティックだの、俺一人だと雰囲気に気圧されてどっかに隠れそうな場所。 春馬『なんじゃここ!オーラが若い!!若者オーラがすごい!!』 咲『そんなオッサンみたいな感想叫ばないでよ恥ずかしい…』 いやそりゃ叫ぶわ!初体験だもの! 歩く咲に合わせながら、キョロキョロ周りを見渡して落ち着きない俺。 春馬『どこ行くんだ!?俺をどこに連れてってくれるんだ!?』 咲『ハルって、こういう場所も来たことないの?一度も?』 テンション高い俺に、構わず普通のテンションで尋ねる咲。 春馬『ねぇよ!家の人間が用意してくれた服着て生きてきたし!』 咲『…"家の人間"、ねぇ…。』 なんだか何か言いたげな咲だったけど、そのまま何も言わずに歩く。 …なんだ?今更俺の世間知らず度にひいてんのか? 咲に連れられて、ひとつの服屋に入る。 戸惑う俺をよそに、咲はちゃちゃっとした動きで並ぶ服をカゴに入れていき、その一式コーディネートを俺に手渡してきた。 咲『とりあえず試着してみてよ。多分似合うから。』 春馬『お、おう。試着とかしていいのか…それなら先にシャワー浴びてからーー』 咲『いいから早よ行け。』 咲に背中を押されて試着室へ押し込まれた。 ひどい!自分の体臭を確認してから試着したいだけなのに!
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