いつも月夜に君の飯

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咲『さて、じゃあどれを買おっかなぁ。』 それらのコーディネートたちを見比べて、顎に手を置き悩む咲。 春馬『え?全部買えばよくね?』 咲『いや、流石にそこまでお金出せないわよ。』 え?お金出せない、って、咲が買ってくれるつもりだったのか? ポカンとしてしまったが、それは流石に申し訳ない。 春馬『金なら俺が出すって。』 咲『え?いや、ハルそんなお金持ってーー』 とりあえず、咲が選んでくれた服たちをカゴいっぱいに詰め込んで、それを持ってレジへと向かう。 心配そうにその後を追う咲だけど、そんな心配俺には無用なのだ。 だって俺、お金持ちだし。 数分後、大きな買い物袋を持ってご満悦の笑みを浮かべている俺がいた。 咲『…ホントに全部買うとは思わなかった…。』 隣で歩く咲が、その俺の姿を見てドン引いてる気がする。 いや、普通に驚いてるだけか。 咲『…なんであんなにお金持ってるのよハル…?』 そう問われ、ちょっとだけどう答えるか悩む俺。 家出をするにあたって、一応俺の執事であるフラットから「必要最低限のお金はお渡しします!」と財布ごと渡されていたのだ。 …中身に入っていた額は、「え?何に散財する予定の必要最低限?」ってなるレベルの大金だったわけなのだが。 春馬『まぁ、家出に必要な金は貰ってたんだよ。そんなもん家出とは言えないけども。』 咲『…確かに、よく考えたら毎日毎日銭湯に行ってるのに全然苦しくなさそうだったもんね…』 いやそれはお金とか関係なく家のお風呂使わせて下さいよ咲さん。 またまた咲は、俺をジッと見つめて何か考え込むような仕草をする。 それから、呆れたようにため息を吐いた。 咲『……それにしたって、全部買わなくてもよかったのに。』 春馬『何言ってんだよ。せっかく咲が選んでくれたんだから、全部欲しいに決まってんだろ。』 そう言うと、咲は足を止めてキョトンとする。 咲『……それだけの、理由で?』 春馬『え?まぁ、うん。』 俺服の事よくわかんないし、咲が選んでくれて褒めてくれたもんなら間違いないだろ。 すると咲は少し頬を染めて、照れ臭そうに俯く。 咲『……ありがと。』 春馬『…こちらこそ。』 …そのリアクションがちょっと可愛くて、思わず俺も恥じらい頬を掻く。 なんか、トゲのない咲は慣れないなぁ…。 蓮寺『…何この空気?めっちゃ話しかけ辛いんだけど。』 声がして振り返ると、いつのまにか背後にポニーテールの美青年…蓮寺先輩が突っ立っていた。 春馬『めっちゃ話しかけてますやん。』 蓮寺『お前らこれで付き合ってないの?マジで?そういうプレイ?』 咲『警察呼びますよ。』 警察呼ばれるほどの不審者ではないだろ、馴れ馴れしくてチャラいだけだよ。
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