いつも月夜に君の飯

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蓮寺先輩は俺ら二人を交互に見て、ニヤリと嫌な笑みを浮かべる。 蓮寺『デート?』 春馬『え?そうなん?』 咲『違います!!』 否定が早いよ否定が。 もうちょっとドギマギしようよ。 蓮寺先輩はそれでもニヤニヤと笑っているので、多分デートしてると思われてんだろうなぁ。 春馬『蓮寺先輩こそどうしたんですか?何してんですか?』 蓮寺『ナンパしてた。』 頭おかしいなこの人。 休日の午前中から何してんだよ正気か?いやこの堂々たる姿を見るに多分正気なんだろうなすっげぇ。 蓮寺『またすっげぇ量買い物してんなぁ春馬!何買ったんだ?』 春馬『服ですよ。咲が選んでくれたんです。』 蓮寺『やっぱデートじゃねぇか!』 咲はもう冷たいジト目をするだけで否定する事を放棄していた。蓮寺先輩強い。 蓮寺『デートだったら、このちょっと先に観覧車もあるからちゃんと乗って帰るんだぞ!キスにはうってつけの場所だぞ!』 春馬『かっ、観覧車!?乗りたい!!乗りたいぞ咲ぃ!!』 咲『この流れで乗りたくないわよ絶対!!』 えぇそんな殺生な!? 俺と咲をイジるのに満足したのか、蓮寺先輩はくるっとポニーテールを翻して背を向けた。 蓮寺『じゃ、ナンパの続きしてくるわ!あと、俺のことは"蓮寺先輩"じゃなくて"レンさん"って呼んでくれ!』 春馬『分かりましたレンさん。』 咲『即応するのね…』 蓮寺先輩改め、レンさんは俺らに背を向けたままヒラヒラと手を振って歩き去っていった。 春馬『で、咲。この後の予定は観覧車なんてーー』 咲『お腹すいたしどこかでお昼ご飯食べよっか。』 観覧車ぁぁぁぁぁ!! 俺の願いは聞き入れられず、俺と咲は昼食をとりに向かうことになったのだった。 昼食に選んだのは、普通のハンバーグチェーン店。 こんなオシャレなお店が並ぶ空間なんだから、もっとオシャレなカフェとかに入るのかと思ってた。 …まぁ咲って、案外そういうのには庶民的なんだろうな。 そのイメージは多分間違ってないと思う。 咲『…前から思ってたけど、ハルって食べ方キレイだよね。行儀いいっていうか…』 春馬『…ん?』 そんな事を言われ、思わず手を止める。 普通にハンバーグをナイフで切り込み、それをフォークで口に運んでいただけ。 …なのに、それを褒められた。 春馬『…俺そんな行儀悪そうなイメージだったわけ?傷付いちゃうよ?』 咲『別にそういうわけじゃないけど、年相応じゃないよなぁって思っただけ。』 …そうは言っても、咲だって食べ方キレイでお行儀よろしいじゃないか。 俺の場合は、家庭内でそういうマナーの躾があったからそうなっただけで。 春馬『…なんか食べるの恥ずかしくなってきた責任とれ!』 咲『ハルって褒めると狼狽えるよねぇ。』 まさしく図星で恥ずかしさを誤魔化すように声を上げるけど、咲はニヤニヤして俺を見ては楽しそうにしていた。 くそぉう、嬉しいハズなのに!悔しい!!
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