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右、左とワンツーの要領で森羅の脳天にチョップを振り降ろす。
いい加減甘い空気になったら、そのまま流れてほしいものだ。
「ったく、真面目に答えろよな」
「うぬぬぅ~私はただ優しく扱ってほしいだけなのだ!」
「へっ? 俺はいつだってお前に優しいだろう?」
ジトーッという擬音が似合いすぎる恋人の眼差しに冷や汗が止まらない。
……あれ?
変だなぁ~俺は超優しい奴だと思うのだけど。
『はぁ~』と魂でも抜けてしまいそうなほど深いため息をつく森羅。
「まぁ、純也の天然なところも魅力の一つだから気にしないのだ」
「ちぇ、なんだかバカにされた気分だぜ」
少しばかり仏頂面になって俺は森羅に背を向けた。
しかし、次の瞬間には……
グギッ!
「ギャース!? なっ、何しやが、」
無理矢理森羅に首をねじ曲げられ、痛みから文句の一つでも告げようとしたが、それは些細な行為によって封じられてしまった。
ちゅ……
鼻腔をくすぐるのは桜の香り。
目の前には瞼を閉じて、長いまつ毛を微かに震わせている森羅の顔。
そして俺と森羅は唇を交わして繋がっていた。
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