いつもの日常?~包囲網悪化~

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「へっ、さっき挨拶代わりだって言わなかったか?」 俺の言葉にアリスは小柄な体をより一層小さく縮めて、人差し指でベッドの上に『の』の字を書き始めた。 俯き加減で表情は伺えないが、白磁のようにきめ細かく美しい肌がうっすらと朱に染まっている。 「パパに言われたの……『唇で交わすキスは特別な人に捧げるもの』だって……」 「あの人もたまには親らしいことするのか……って、特別?」 「……(カァーーー)」 正真正銘プチトマトの出来上がり……じゃなくて、アリスは頬を押さえながら真っ赤になってしまった。 「ジュンヤパパとねぇ様が幸せになってくれて……僕、嬉しいよ。 でも、胸がきゅ~って苦しくて僕もパパと……キスしたくなっちゃった……」 どうやらアリスは俺と森羅が付き合うことで、己の中で芽生えた感情にようやく気付けたらしい。 うむぅ~嬉しいけど……複雑な気分だよな。 アリスは純粋無垢な奴だ。 そんなアリスの無垢な心に俺が住み着いてるのは光栄なのだが、俺には森羅という心に決めた人がいる。 「ごめん、嬉しいけどさ……アリスの気持ちには応えられない」 それが俺の本心。 今まで優柔不断に心が動いていたが、俺の想いは既に固まっている。 だから、アリスを傷つけるしか…… 「うん、知ってるよ……僕はジュンヤの隣でねぇ様たちの笑顔が見れてれば十分だよ」 なんて愚かなんだ俺は。 アリスは傷ついてなんていない。 そもそも俺が思っていたよりもアリスは弱くなかった。
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