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階下から鬼の襲来を告げる爆音が響きわたる。
ドカンッ!
「何をしてやがるバカ息子!?」
ドアを道ばたの石ころを蹴るように簡単に蹴り飛ばし、フライパンを持った悪魔……母が現れた。
「ちょっ、ちょい待て! 少しは弁解させろや!?」
「はぁ!? 私のアリスちゃんに手を出している時点で万死に値するわバカ息子!」
わぁ~お、超理不尽!
フライパンをへし曲げながら、母が悪鬼も裸足で逃げ出す形相で俺に近寄る。
くそっ、こうなったら……
「アリス、弁明を頼む!」
「むっ」
とっさにアリスの脇の下に手を入れ、俺と母親の間に割り込ませた。
アリスはキョトンとした表情で母と顔を見合わせている。
母は動きを止め、アリスの肩を掴むと幼い子に言い聞かすように優しい顔になった。
「アリスちゃん……バカ息子に変なことをされなかった? されたならお詫びに息子を八つ裂きにしてあげるわよ」
にっこり。
「いや、笑顔で平然と息子の死を告げるなよ!?」
俺の怒声など完璧にスルー。
そんな母に対してアリスは首を横に振って否定する。
「ジュンヤパパに酷いことしたら……嫌だよ」
「うっ、ごめんなさいアリスちゃん」
アリスの純粋な瞳に罪悪感を覚えたらしく、母は気まずそうに顔をしかめた。
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