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さすがはアリス。
彼女の純粋さに触れたら、泣く子も黙る鬼さえも手出しは出来ない。
しかし、アリスの純粋さには他意はなく、言い方を変えればかなりの天然でもあることを俺は失念していた。
「僕、ジュンヤパパに頼まれたから、キスで起こしただけ……(えっへん)」
「あわわわっ!?」
胸を反らしながら自信満々に答えるアリスに俺は絶望し、母は俯きニヤリと笑いながら舌なめずりをした。
「息子よ……短い付き合いだったな……森羅ちゃんもアリスちゃんも私に任せて眠りなさい!!」
「ギャーーース!? 熱したフライパンのフルスイングは勘弁し、」
ガツンッ!!
ジューッ!!
俺が最後に聞いたのは額にフライパンの底が激突する音と肉の焼けるの香ばしい音であった。
「ったく、マジで有り得ないだろ?」
「ふん、彼女を差し置いてアリスとデレデレしておるのが悪いのだ!」
「……(オロオロ)」
「大丈夫っすよアリスちゃん。 いつものケンカなんて放置してればいいっすよ~♪」
俺、森羅、アリス、そして兄の額にガーゼを張り付ける義妹の未由。
俺たち四人は制服に身を包み、のんびりと朝の通学路を歩いていた。
「お兄ちゃんって、いつも生傷が絶えないよね~はい、手当はオシマイっすよ♪」
ポムッ。
「痛ッ!? お前も怪我の要因の一つだろうが!」
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