いつもの日常?~包囲網悪化~

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いくら森羅の魅力に骨抜きにされているとはいえ、公衆の面前でイチャつく勇気はない。 「え~っと、逃げるぞ森羅!」 「うっ、うむ、逃げるのだ純也!」 自然な動作で俺たちは互いの手を繋ぎ、野次馬たちから口笛や罵倒を背に受けつつ逃げ出した。 冬を目前にした肌寒い朝。 俺と森羅は初めて『手を繋いで登校する』というバカップルへの第一歩を踏み出したのであった。 校舎が視界に入った時点で俺たちはゆっくりと走る速度を落とした。 わりと本気で走っていた俺の体は汗ばみ、朝の寒さが心地よく感じた。 「ぜぇはぁ、結局学校までランニングかよ……疲れたぜ」 「情けないのだ。 純也はもっと基礎体力作りに、」 「はいはい、俺はお前みたいにパーフェクトになるつもりは皆無だから」 軽くあしらうが森羅は不服らしく、頬を膨らませながら愚痴っている。 つ~か、こいつクラスの基礎体力を目指したら、俺はオリンピックアスリートになっちまう! 「う~む、やはり最初はフルマラソンを鼻歌混じりのスキップで完走できるように、」 「絶対に無理!」 「きっと純也なら出来るのだ!」 どこからその自信が出てくるのか謎過ぎる。 朝から森羅の暴走に頭を悩ませながら歩いていると、やけに人が集まっている校門が見えてきた。 「くぉ~ら! 持ち物検査だって言ってるだろうが!? さっさっと荷物を吐き出せ!!」
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