いつもの日常?~包囲網悪化~

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木の上で朝のさえずりをしていたスズメたちは、本能的に何かを感じ取って逃げだし、死臭を嗅ぎつけたのか大量のカラスたちが集まり始めた。 ヤっ、ヤバい! 逃げないと死ぬ! 逃げたい。 しかし、恐怖から腰が抜けた俺は歩腹前進でしか逃げることが出来ない。 「「純也!?」」 「はっ、はい!!」 情けなく逃げ出そうとする背に二人の怒声が響く。 「純也、お前の為に絶対に勝つぜ!」 「純也、私の生きざまを見守ってほしいのだ!」 「いやいや、何でバトルすんだよ!?」 最早俺の声は二人には届かず、後は開戦の合図を待つのみになってしまった。 「覚悟しろ森羅!!」 「愛の力を思い知るのだ渚!!」 ちょっ、マジで誰か二人を止めてくれ!! 二人の体は弾丸のように飛び出し、自分の全てを相手に叩きつけ…… パンパンッ! 「あらあらぁ、ケンカは終了ですよ♪」 叩きつけることなく、突き出された二人の渾身の右ストレートを爽やかな笑みを浮かべた女の人が受け止めた。 「ぬっ、小百合!」 「ちっ、邪魔をするなよ、小百合!」 「ナイスだ、小百合さん!」
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