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小百合さんは俺のサムズアップに応えて、同じサムズアップを笑顔で返してくれた。
う~む、やはり小百合さんは頼りになるな。
「ぬがぁ~そこを退くのだ小百合! 私は渚と雌雄を決せねばならぬのだ!」
死合を阻まれた森羅は犬歯を剥きだして小百合さんを力強く睨む。
一般人なら気後れしてビビる眼光なのだが、一般という単語から逸脱している小百合さんは花のように微笑んでいる。
「あらあらぁ~暴力で物事を解決するんですかぁ~。 乙女に反した行為を純也さんは快く思いますかね?」
「ぬぐっ、どうなのだ純也?」
パチッと小百合さんは意味ありげに俺にウィンクを飛ばしてきた。
ん?
ははぁ~ん、なるほどね!
俺は首を横に振り、魂でも抜け落ちそうなほど深いため息を吐いた。
視線だけで『がっかりだ』と語ることも忘れない。
「森羅……俺が好きなのは乙女心全開な女子だ……お前は違うのか?」
「もっ、もちろん、乙女ロードを爆進中なのだ! ケンカなどしないのだぁ~♪」
『くぅ~ん』と鼻を鳴らしながらすり寄ってくる森羅を余所に俺と小百合さんはニヤリと悪魔の笑みを浮かべる。
ふっ、楽勝だぜ!
つ~か、悪魔に魂を売った俺は最低だな……
「うぬ? 何故体育座りをするのだ純也?」
「寂れた心を癒す為だ」
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