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「わかった、俺が悪かった! アリスが不機嫌そうだったから笑ってほしかっただけなんだよ!」
「……え?」
アリスは口にくわえていた指を離して、上目遣いで俺を見上げた。
正直照れくさかったから黙っておきたいのだが、アリスの無垢な瞳を前にしたら黙っておくことなんて不可能だ。
「いや、ひょっとして今朝のこと怒っているかと思ったからさ……そのゴメンな」
「違……うよ! 僕……キスのこと怒ってない。 ただ……ジュンヤパパと一緒に学校に行けなかったのが……寂しかった」
「そっか。 なら、お詫びに一緒に帰ろうぜ子猫さん♪」
少し恥ずかしい台詞だがアリスを相手にすると苦もなく、さらりと言える。
優しくアリスの髪を撫でると、彼女は青い瞳を細めた。
「……パパ、あむ」
「ちょっ、ちょっとアリス!?」
何故かアリスは再び俺の指を口に含んだ。
先程とはうってかわり、動物が親愛の情を表すように甘噛みしながら、舌で噛まれた指を優しく舐めた。
「あむ……痛かった……よね? ……ちゅぱ……ごめん……なさい」
「アリス……いいんだよ。 ありがとうな」
「……(こくり)」
含まれた指を口から離して、アリスはようやく花のような笑顔を浮かべてくれた。
うんうん、やっぱりアリスには笑顔が似合うよな♪
ゾクッ!
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