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絶対的な感。
人は生命の危機を感じ取ると生存本能から体が機敏に動くことがある。
俺も生存本能に従い、とっさに体を横にずらした。
サッ!
「ぬぁ!?」
ズデンッ!!
「何をやってるんだ森羅?」
「ねぇ様……痛い?」
「うぬぬぅ……痛いのだぁ~」
俺に突撃してきた森羅は勢いを殺せず、床に顔面からダイブした。
額を真っ赤にしながら、唸る姿は小さな子供みたいで可愛いと思ったのは内緒だ。
「つ~か、本気で俺に体当たりするつもりだったろう? 彼氏の命を狙うなよ!」
「むっ、それは心外なのだ! だいたい、純也がアリスとキスしたなんて話は初耳なのだ!」
「あっ……え~と、それは……その、」
一気に血の気が失せる。
森羅からは怒りのオーラが溢れ出し、犬耳や尻尾が生える幻覚まで見え始めた。
「ぐるるる……」
まるで絶食すること三日目を迎えた獣のような唸り声。
並みの男なら気絶、慣れた俺でさえ、意識を手放しかける獣王森羅だ。
「……え~と、ごめん。 俺は森羅一筋だぜ!」
「純也……」
真面目な顔をしながら森羅の肩を掴み、甘い台詞を囁く。
すると、森羅は瞳を潤ませて俺の言葉に酔いしれた。
ふっ、楽勝だぜ!
「って、そんなに甘くはないのだ! がるるるッ!!」
「やっぱりですか!? ギャース!?」
頭を全力で噛みつかれ、結果的には歯形を残されるのであった。
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