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ガララッ。
「ふんふんふ~ん♪ みなさん、おはようですよぉ~♪」
鼻歌混じりに我らのちびっ子先生……姫川梅【ひめかわ うめ】先生が教壇に立った。
「えへへぇ~実は昨日ナンパされちゃいましたぁ~♪ 『お菓子あげるからお嬢ちゃんついてこないか?』って、誘われちゃいましたぁ♪」
う~ん、どう考えても誘拐犯の間違いじゃないのか?
小学生……よくよく見ても中学一年生にしか見えないショートカットの姫川先生(通称梅ちゃん)は、まん丸い頬を赤く染めながら楽しそうに笑っている。
「でも、26歳といったら血相変えて帰っちゃったのが残念ですぅ。 何でも用事があったらしいですぅ」
ガックリと肩を落とす先生に対してクラス一丸となって無言でスルーする。
しかし、天真爛漫な梅ちゃんは己が新たな伝説の1ページを築いたことになど気付くことなく、朝のHRを開始する。
「みなさん、昨日の文化祭はお疲れさまですぅ! みなさんの頑張りで文化祭は大成功でしたよ♪」
生徒の頑張りを自分のことのように喜ぶのが、梅ちゃんの一番の美徳だろう。
「それにぃ~栗林君と霧島さん~?」
「「んあ?」」
二人で間抜け面をしながら先生の問いかけに答える。
梅ちゃんにしては珍しくニヤニヤと嫌な笑みを浮かべているのが気になる。
「お付き合いおめでとうです~♪ みなさんも拍手拍手♪」
パチパチパチ……
「あっ、あれれ? みなさん無反応ですか?」
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