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「桜花さん、森羅聞いてくれ……俺は臆病で優柔不断なダメ野郎かもしれない。 でも、この想いを貫きたい! 俺は森羅を……森羅の笑顔を作っている全てを守る!」
翳した手を握りしめ、天国にいる森羅の母親にまで届けと言わんばかりに強く誓う。
だけど、その一方で俺は自身の誓いが酷く身勝手なものに思えてしまう。
桜花さんが願ったこと……それはきっと森羅を取り巻く全ての人々の幸せだろう。
俺に……出来るのか?
只の平凡な奴に森羅を幸せに……
「純~也、ガルル!?」
ガブッ!
「ギャース!? いきなり噛みつくなよ森羅!」
考えごとをしていたら森羅に腕を噛みつかれた。
あまりの痛みに不快な悩みは吹き飛ぶ。
「私は嬉しいのだ! 純也と恋人になれて全てが愛おしくて……今の願いも嬉しかったのだ!」
「森羅……ありがとうな。 でも、桜花さんは俺と森羅の仲を認めてくれるか?」
森羅は俺の右手を両手で掴み、自らの口元にゆっくりと運ぶ。
そして……
「純也、もう一度言うのだ……私は純也が好きなのだ」
ちゅっ……
右手に森羅の唇が優しく触れる。
羽毛のように軽く、頭を溶けさせてしまう麻薬のように甘い刺激に心がジーンと痺れる。
「母上もきっと純也を認めているのだ。 それと純也は勘違いしているのだ!」
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