揺るがない約束~プロローグ~

5/12
前へ
/626ページ
次へ
「桜花さん、森羅聞いてくれ……俺は臆病で優柔不断なダメ野郎かもしれない。 でも、この想いを貫きたい! 俺は森羅を……森羅の笑顔を作っている全てを守る!」 翳した手を握りしめ、天国にいる森羅の母親にまで届けと言わんばかりに強く誓う。 だけど、その一方で俺は自身の誓いが酷く身勝手なものに思えてしまう。 桜花さんが願ったこと……それはきっと森羅を取り巻く全ての人々の幸せだろう。 俺に……出来るのか? 只の平凡な奴に森羅を幸せに…… 「純~也、ガルル!?」 ガブッ! 「ギャース!? いきなり噛みつくなよ森羅!」 考えごとをしていたら森羅に腕を噛みつかれた。 あまりの痛みに不快な悩みは吹き飛ぶ。 「私は嬉しいのだ! 純也と恋人になれて全てが愛おしくて……今の願いも嬉しかったのだ!」 「森羅……ありがとうな。 でも、桜花さんは俺と森羅の仲を認めてくれるか?」 森羅は俺の右手を両手で掴み、自らの口元にゆっくりと運ぶ。 そして…… 「純也、もう一度言うのだ……私は純也が好きなのだ」 ちゅっ…… 右手に森羅の唇が優しく触れる。 羽毛のように軽く、頭を溶けさせてしまう麻薬のように甘い刺激に心がジーンと痺れる。 「母上もきっと純也を認めているのだ。 それと純也は勘違いしているのだ!」
/626ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23478人が本棚に入れています
本棚に追加