第1章/列島の異変

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伊豆中央地震から1週間あまり。まだ復旧まではほど遠く、ようやく孤立した世帯を、自衛隊のヘリコプターが救出しただけであった。 遠藤は、椅子に座ると、パソコンの電源を入れて起動させた。外は、いまだに雪が降っていて、うっすらと路面に降り積もっている。遠藤はパソコンが起動するまでの間、壁に掛かっている時計を見て時刻を確認した。――午前10時59分であった。 「所長。海底開発興行株式会社の《しんかい》のチャーターOKが出ました。明日から潜航を開始するそうです」 霧島が、確認書類を渡しながら言った。 「そうか、分かった」 遠藤はそう答えると、その書類に目を通した。――なにか、妙な胸騒ぎがした……。
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