第1章/列島の異変

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12月19日。時刻はまもなく9時になろうとしていた。昨日からの雪は、夜のうちに止み、冬の弱々しい太陽の光が、降り積もった雪をゆっくりと溶かしはじめていた。 霧島と遠藤は、東京港の一画にある晴海埠頭に来ていた。車を駐車場に止めると、車内から出た。その途端、寒い北風が二人に吹き付けた。 海底開発興行株式会社所属の深海調査船(勝鬨丸)は、後部デッキに、《しんかい》を乗せて待機していた。 海底開発の《勝鬨丸》は、全長190メートルの三階建ての調査船で、最高速度は27ノットも出て、ディーゼルエンジンを二基、搭載していた。後部デッキは潜水艇を除くと、ヘリポートにもなる。また、《うみどり》というヘリも乗せていた。
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