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「やだなあ、遠藤博士。前に会った時とあまり変わってませんよ」
「そうか。まあ、確かにそうかもな……」
遠藤はそう言い、ガハハハと笑った。
「ところで、小野田君」
ひとしきり笑い終えると、遠藤は真剣な表情になって、こう続けた。
「……君は、今回の事、どう思う?」
「島が沈んたことですか?」
「うん」
暫く考えてから、小野田はこう言った。
「そうだな……。小さな無人島1つ沈めるのなんて、神様が決めてやることだ。人間がどう動こうと、自然に歯向かうことは、神様を怒らせるだけ。でも、それをどうにかしなければ、我々がほろびる。――神様を取るか、我々の命を取るか。その選択が難しくなる。
でも、当然日本人――いや、人類には生きる権利がある。だから、いつか神の怒りも収まるだろうさ」
「そうか。そう。我々人類にも生きる権利はある。だからと言って、自然を破壊し続け、神様を怒らせるような事をしてはならない。――地球と共存するには、開発も必要だけど、自然を守ることもまた必要だ。無人島が沈んた事は、神様が我々の自然の破壊に対しての怒りの1つだろう。だけど、勿論地質的な理由がある。我々科学者の役目は、その原因を探すことだ」
遠藤は、そこまで一気に言うと、ふうっと息を吐いた。
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