プロローグ/博多大震災

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ふと、加藤は空を見上げた。ギラリと光る太陽。雲1つない青空。加藤は夏が嫌いだった。暑いのも嫌いだった。 その時、突然ドシーンと下から突き上げられるような衝撃が襲ってきた。ドン、ドンと突き上げられるような感覚がする。そして、次の瞬間、地響きと共に、ユサユサと大地が左右に大きく揺れ始めた。 「地震だー!」 誰かが叫んだその声は、轟音にかき消された。 窓ガラスが、雨のように地上に降り注ぐ。悲鳴が、辺りに充満した。 崩れ落ちる建物。血塗れになって死んで行く人々。悲鳴を上げる人々――。一瞬にして、博多の街は地獄と化した。
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