第1章/列島の異変

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12月10日 水平線が、うっすらと赤みを帯びていた。間も無く――恐らく後数十分で日の出の時刻であろう。 静岡県伊東市は、冷気に包まれていた。びゅう……と冷たい海風が吹いていて、寒い。いくら伊豆といっても冬は――特に朝は寒い。常に白い息が出る。 伊東市は、夏場は観光地として賑わっているが、冬場は街全体が静まる。来る人と言えば、物好きな釣り人ぐらいであった。 気晴らしに伊東に来てみたのだが、少し気が重くなってしまった。――海を見て、少しは気が楽になったが。 空は、雲1つなかった。佐藤秀治(さとうしゅうじ)は、腕時計で時刻を確認した。――午前5時23分だった。
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