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ふ~っと、深いため息を吐く。白い吐息が、口から出て宙を漂い、すぐに消えた。ポケットから煙草の箱を取り出し、その中の一本を手にした。ライターで火を付け、口に付ける。ハーッと煙を吐き出した。
――風は、いつの間にか止んでいた。この時期にしては珍しく、海は穏やかで、風は無風に近い。
その時、ズシンという衝撃と共に、ドドドーンという爆発音が後に続いた。佐藤は驚いて爆発音がした方向を見ると、山の方向に火柱と煙が見えた。
次の瞬間、凄まじい爆風と揺れが襲った。バリバリと雷の雷鳴が轟き、窓ガラスが音を立てて、一部が割れた。建物にはひびが入り、傾く物や煙を上げて崩れる物が大半だった。
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