第1章/列島の異変

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この日、マグニチュード7・8の、後に「伊豆中央地震」と名付けられる地震が発生した。この地震とほぼ同時刻に、伊豆・天城山が数万年ぶりに大噴火を開始した。当初、伊豆中央地震が天城山の大噴火を連動させたと思われていたが、調査の結果「『伊豆中央地震』が『天城山大噴火』を引き起こしたのではなく、両災害は、ほぼ同時刻に発生しているために、この2つの地殻変動の連動は認められない(正確には『伊豆中央地震』が『天城山大噴火』より数秒――それこそ“0,1秒”の差だが――早かった)。そのため、2つの地殻変動は、“偶然にも同時に発生した”と考えられる」という結論が出た。 この地震により、伊豆は「陸の孤島」と化した。死者は1250名と少なかったが、各路線は寸断され、経済的な損失は莫大なものだった。 博多大震災からたった4ヶ月後に起こった伊豆中央地震は、人々に強い衝撃を与えた。その中には、なんらかの“危機感”を覚えた人も、若干名だがいた。地質学者の遠藤亨(えんどうとおる)も、その1人だった――。
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