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12月18日
その日、東京には珍しく雪が降っていた。12月に雪が東京で降ることは珍しく、気象予報士を驚かせていた。
遠藤亨は、白い吐息を口から吐きながら、青いヴィッツの車体から降りた。遠藤は、ヨレヨレの灰色のスーツにズボン、ぐしゃぐしゃになった髪の毛をしていた。身長は高くもなく短くもなく、黒縁のメガネを掛けていた。
『遠藤地球物理学研究所』とプレートに書かれたドアをくぐり、玄関で靴を脱ぐと、頭をボリボリと掻きながら研究室に入った。
「ちょっと~フケ飛ばさないで下さいよ~」
助手であり、I大学助教授の霧島武彦(きりしまたけひこ)が、不快そうな表情を浮かべながらぼやいた。40代も後半になる霧島は、その名のとおり九州の出身だった。髪の毛は、遠藤と違いきちんと整えていて、真っ白な白衣を身に纏っていた。身長は遠藤より低く、皆からは「チビ」と呼ばれていた。
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