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「ですが、あなたの兄弟…妹さんの行方なら分かります。」
「僕の…妹ですか?」
優の表情が、哀しみの表情から、少しだけ期待の表情に変わる。
「はい。…実に申し上げにくいのですが、その~…あなたの妹さんは…」
「何処にいるんですか!?」
優が、目を輝かせながら、ドリアードを急かす。
「…今、この部屋の向こうにいます。」
「…え?」
優の表情が一転する。
「妹さんのお名前…聞きますか?」
「…はい。」
優が真剣な表情で答える。
「…あなたの妹さんのお名前は…『ウィン』です。」
「……………」
優が黙り込む。そして、少し間を空けてから、
「…えーーー!?!?」
とびっくりしたように叫ぶ。
「嘘!?本当ですかそれ!?」
「ほ…本当ですよ!私は優さんの母親からウィンさんを引き取ったんですから!」
ドリアードが優の叫び声に驚きながらも、何とか答える。
「ウィンはもちろんその事知らないんですよね?」
優が、少し声を落としながら更に尋ねる。
「はい。兄弟がいるとは知っていますが、あなたとは知りません。」
「ウィンになんて言えば…」
優が、ウィンに自分が兄だと伝えるにはどう言えばいいのか、考えた。
「あの~、一つ良いですか?」
「何ですか?ドリアードさん。」
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