苦しみ

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『総司、私は今までにたくさんの仲間に出会って来た…坂田金時や桂小五郎、でもまた、仲間に出会っていく反面、別れもまた訪れた』 『…』 海沙の話を私はずっと聞いていました  『そのたびに何度私も死んでしまいたいと思ったか…』 『よく…生きていてくれましたね』 私は重い体を起こし海沙を後ろから抱き締めた  『総司?』 『海沙…』 小さく名前を呼び私は 『さような』 『え?』 海沙はばっと体を私の方に向けました  『これは!?』 海沙は自分の体を見て驚いていました  体が透けているから  『別世界に送る方法はただ一つ…私が誰かを愛すること…』 『総司…』 『海沙、私は貴女を愛しています…』 真っ直ぐ海沙を見据えて想いを告げた  『総司…私も貴方を愛しています。』 海沙は涙を流していました  『海沙…これを…』 私は自分の髪結い紐を外し海沙に渡しました  『これは?』 『お守り代わりです』 ついでに小袋も渡した  『ありがとぉ…総司』 『はい、なんですか?』 『大好きです』 『えぇ、私もです』 そして軽く接吻をしたあと海沙はいなくなッてしまいました  『どうかご無事で』 雲の間から顔をのぞかせる太陽を見ながら私は呟きました 
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