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目を覚ますと、先程まで乗ってた電車の中だった…
『ここは…』
辺りを見回すと、のどかな田舎風景が広がっていた。
『乗り過ごしちゃった…』
制服の中から携帯を取り出し、待ち受け画面の時計を見る。
10:23
『こんな時間まで、寝てたんだ。今から学校行っても…。うん!今日くらいずる休みしても良いよね。』
良い機会だと思い、駅を降りた。紗夜の視界には、辺り一面、緑色の稲が風になびく。
(へぇ…こんな所があったなんて…)
目的も無いままに歩いて行くと…森の中に、神社を見つけた。鳥居の真ん中に書いてある神社の名前を紗夜は呟いた。
『七斗[ナナト]神社?』
くすんだ朱色の鳥居をくぐり抜け、石造りの階段を登っていく。
どれくらい登っただろう…
やっと、頂上にたどり着く。
軽く息を切らせながら、神社の本堂に足が進む。…誰かに呼ばれてる気がした。本堂の中に入るつもりは無かったけど、手が勝手に本堂の扉に伸びる。
ギギッ…
重たい音と共に開く扉
薄暗い部屋の中に、白い狐の置物が、何かをくわえていた。
なんだろう…
昔の鏡みたいなだなぁ…
手の平より大きくて、周囲には、4匹の獣の絵…真ん中には7つの穴が開いていた。
紗夜は、そっと7つの穴に指で撫でた途端に、狐の置物から外れてしまった。
『あっ…やばっ!!』
慌てて拾い、鏡を狐に戻し入れようとして、振り返った瞬時に…ぐにゃりと、視界が歪む。
(あれ…なにこれ…)
そのまま、紗夜の視界が真っ暗な闇の中に包まれた。
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