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浅葱に、自分の住んでた世界の事を全て話た。初めは半信半疑な浅葱も、真剣に聞いてくれた。…信じてくれた…のかな?。
一時、沈黙が続く。
焚かれた火がパチパチと鳴る。ただ…ゆらゆらと揺れる、火を見つめ…考える紗夜。
ここが何処なのか、自分がどうやって此処まで来たのか、これから自分はどうなるのか…
考えたら切りが無い…
絶望的な状態には変わりない。涙が溢れる。
『紗夜…どうした?』
浅葱が少し心配そうに、声をかけた。
『ん…?何?』
気付かれない様に、涙を拭い、浅葱に笑顔を向けたつもりだが…浅葱はその涙を見逃さなかった。
『紗…夜…。』
横から紗夜を抱き寄せた。
『あ…浅葱!?』
何が起こったのか解らなかった。ただ、彼の腕の中に居る。それだけが理解できた。紗夜の心拍数が上がる。浅葱に聞こえるんじゃないかと思うほど…。
浅葱が優しく紗夜に言う。
『紗夜…明日、七ツ国の先読み姫の所に行こう。』
『先…読み姫?』
『あぁ…、七ツ国にいてる、未来を占う姫様なんだ。何か答えが見つかるはずだ。』
『うん…。』
浅葱の心臓の音が心地良く、紗夜は、ゆっくりまぶたを閉じて、涙を流しながら眠った。
『…。寝ちまいやがった…。無防備にも程があるぞ…。』
紗夜の涙を拭い、困った顔をした浅葱も
そのまま、眠りについた。
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