三億円当選!

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大学の講義が終わって、僕こと宇津井登はいつものミステリー研究会の部室に向かっていた。 五限終わりだから、日は暮れ、少し肌寒い風が僕の肌を撫でる。季節は七月なのに、今日は少し寒く感じた。 そして僕はこの時、直感的に何か起こる!と思った。なんだろう……。虫の知らせというか、部室で何か衝撃的なサプライズが待っているような気がしてならない。 そして僕の直感が当たるかのごとく、急に雨が降り出した。傘を持っていない僕は、慌てて部室まで走る。 雨は勢いを増し、地面の上で跳ねている。そして最終的に土砂降りになり、頭上から降ってくる。 なんとかクラブセンターまでたどり着いて、屋根がある入り口付近で一休み。ふぅと一息を付いた。 僕は人気を感じ、横を見た。するとそこには……。 「あっ……あなたは!」 僕はその人物の衝撃に言葉が続かず、ただその場に立ち尽くしたまま、相手の顔を目を大きく見開いて見つめていた。 彼女も傘を持っておらず、長い黒髪はぺちゃんこ。頬に黒髪が貼りついており、顔色は青白い。痩身で一つ一つの顔のパーツを見れば良いのだが、顔色が悪いせいか幽霊のような気配を身に付けている。 彼女は一ヶ月に一回部室に現れるか現れないかの存在で、しかも雨の日しか来ない。彼女がミス研の妖精と言われる所以はここにある。 僕の右隣にいるのは、蒼井さん……。蒼井夜さんだった。
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