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「うぉお!……夜さん、ホント久しぶりです。確か俺が入部して以来ですよね!」
ペコペコ十五浪……。礼節をシッカリとわきまえている彼に、一体大学受験で何があったか知る由もない。
「そうだったかしら……。確か……十五浪の方ですよね。こんばんは」
「長瀬さんこんばんは。いやぁ、それにしても酷い雨ですね……」
依然と雨は強さを増す一方で部室の窓からは、激しく降る音が響いている。
部室には長瀬さんの他に三人いた。蒼井さんの顔を見るとともに、三人は驚きの声を上げ、挨拶をした。安養寺茉莉に内藤俊、間宮胡桃である。彼等はパイプ椅子に腰掛け各々何かしている。
安養寺ことあんちゃんに関しては、部内一の推理力を持つ美人と言うだけである。
そして残りの二人、内藤俊は長身の細身で爽やかな装いをした毒舌イケメンである。
もう一人、間宮胡桃は推理作家を目指すちょっと変わった女の子。いつも白いニット帽を被り、ほのぼのした感じである。三人とも同じ二回生だ。
「確かに。しかしまぁ、よく来てくれました。とりあえず宇津井さんも夜さんも座って下さいよ。今日は重大なニュースがあるんですよ!」
「重大なニュース?」
長瀬さんはペコペコしながら、僕達の分のパイプ椅子を引いてくれた。年上過ぎるのに敬語だと、なんか歯がゆい……。
それにしても重大なニュースとはなんだろう……。蒼井さんは全く興味なさげで、持参の本を開きだした。
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