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長瀬さんが重大ニュースを報告するというのに、みんな我関せずな様子である。実はもう先に聞いているのかなと思ったくらいだ。
「実は……昨日一等の宝くじが当たったんですよ!」
「えぇ!マジですか!?すごいですね!一体いくら貰えるんですか?」
「三億です」
「三億!?」
僕の声が大きかったせいか、部員達はなんだなんだと言わんばかりに僕達の方に意識を向ける。
「もしかして三億円当たったん?」
白いニット帽の胡桃がまず言うと、続けて俊が「それってホントか?」と聞き返した。あんちゃんと蒼井さんは何も言わずに、こちらを向いている。
「はい!ちょっと待って下さいね。この引き出しに当たったくじの番号を控えた紙があるんですよ。すみません、安養寺さんそこの新聞取ってもらえますか?」
長瀬さんは忙しなく、部室の机の引き出しの中から、一枚の白い紙切れを取り出した。あんちゃんは言われるがままに、長机の上にある新聞を長瀬さんに渡した。
「『5232289』番?」
僕が紙切れに書かれている番号を読み上げた。そして長瀬さんは新聞を開け、番号の書いている一面を開け、僕達にそれを見せた。
「『5232289』うわぁ!一緒や!」
胡桃が驚きの声を上げた。あんちゃんや蒼井さんもまじまじと紙切れと新聞を見合わせていた。そして蒼井さんが一言。
「その宝くじはいまどこに……?」
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