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引き出しなどを開け放ち、棚の隅々まで調べ上げたが、宝くじは発見することが出来なかった。
「長瀬さん、これいつしまったんっすか」
「昨日の夕方。部室に来たときです」
俊が手を顎にやり、首を捻る。そして「その時いた人物は?」と尋ねた。
「昨日は有栖、胡桃、俊、登、長瀬さんの出席がついてる」
あんちゃんがドアに掛かったノートを見て答えた。つまり、俊は僕を含む五人を容疑者としているようだ。
「夜、安養寺以外に疑いがあるってわけか。しかし、長瀬さん。何故ここにそれを隠し、今日この事実を俺たちに伝えたんですか?」
今日は有栖がいない代わりに、俊が徐々に核心に迫っていく。その場に居合わせなかった蒼井さんとあんちゃんは傍観している。
「たまたま学校に来る途中に買ったからで、特に理由はないです。そして実はこの宝くじの当選発表が今日だったっていうだけです。だから昨日の時点では、これが一等なんて知る由もなかったわけです」
「なるほど。じゃあ鍵を掛けたのは、当選してからとなるな。いつですか?」
「今日の朝刊を部室に持ってきてあの番号を写した紙切れと確認したときには、『まだありました』。そしてその後、鍵を掛けて部室を出たので、開けれる人物は俺しかいないっていうことになります」
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