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―――彼と付き合って2年、今更だけど思うことがある。
彼は私の事が好きではないのかもしれない。
告白したのは私だし、告白の返事も"いいよ"の一言だけ。
嫉妬してほしくてワザとクラスの男子とお喋りするけど、気にする素振りを見せた事は1回もない。
友達に誘われた合コンへ行く許可をもらおうとした時だって、"いいよ"としか言わなかった。
迷うことなく許可してくれたのに、私は全く嬉しくはない。
束縛は嫌いだけど、自由奔放なのもどうかと思う。
"好き"の言葉を聞いた事もないし、"好きだよ"と私が言っても"うん"というだけ。
私のこと、好き?
とても気になって、ある日私は気持ちをぶつけるように問いかけた。
「何で合コン行っても良いって言うの?私が浮気するかもって、思わないの?」
どちらかというと気が小さい私は、こういう雰囲気には慣れていない。
自然と出てきてしまう涙が、瞳からこぼれ落ちるのを防ごうと少し上を向く。
彼はさっきまで読んでいた雑誌を閉じると、私を真顔で見つめた。
「だって俺にベタ惚れだろ?浮気なんかしないって信じてるもん」
少し溢れ出てしまった私の涙を彼は親指で拭い、笑う。
「……好きじゃないのかと思った」
「そんなわけないだろ。俺だってお前にベタ惚れだ」
私のモチモチした両頬を掴んで左右に伸ばすと、少し怒り気味に言った。
「浮気の心配はしてないけど、他の男と話して俺との時間が潰れるのはムカつく」
「……ごめんなさい」
俯きながら言うと、目には見えないものの彼がニヤけているのが伝わってくる。
「それにしても、俺の愛情表現が乏しかったせいで不安にさせたか……安心しろ。これからは存分に可愛がってやる」
「……え」
引き寄せられた体に恥ずかしく思い、腰の辺りをさする彼の手に戸惑ってしまう。
「や、やめっ」
彼の手を掴んで制止しようとするが、無理みたいだ。
抵抗されてさらに燃えてしまったらしい。
―――へ、変態。
結局この日はずっと遊ばれ、腰が抜けて立てなくなるほど散々な目にあった。
それでも、彼からの愛を実感できた私は満足だ。
END
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