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私の身長178㎝
私の好きな彼は168㎝
身長差は10㎝
毎日彼が好きだと思う度に"10㎝"の身長差が纏わりついてしまっている。
だけども"好き"という気持ちは変わらなく、健気に彼を思っていた。
───────────…
「いてぇー…」
そう言った彼はお腹を押さえながらトイレへ駆け込んで行く。
やたら最近……高校生になってから彼は何回かお腹を壊すようになった。
"軟弱になったなぁ~…"
トイレから戻ってくる彼に私は毎回同じ言葉を掛けると、いつも"うるせぇ"としか言わない。
そんなある日、私がお菓子を買いにスーパーへ行くと彼に会った。
彼もスーパーへ行ったようで袋を持っている。
「……牛乳、やたら多くない?」
1Lのパック牛乳が5本もあるのだ。
その重みでスーパーの袋が手に食い込んで痛そう……
「おふくろが買って来いって言うんだよ。俺が牛乳ほとんど飲むから」
「もしかして、最近異様にお腹壊してたのは牛乳の飲みすぎ?でもあんた牛乳嫌いじゃなかった?」
そう聞けば彼は"はぁ~"と大きなため息をしたのでムッとして睨めば、さらに脱力したように手をだらんとさせた。
「お前さ……クラスの男子に人気あんの知ってた?」
いきなり話が飛んだので驚いたが、それ以上に彼が話した内容にびっくりしてしまった。
「私が?」
「そうだよ。しかもみんなお前より身長高いし……頑張って身長伸ばして、お前と釣り合おうとしてんだよ」
「へ?」
「ったく……"好きだ"って言わなきゃ分かんねぇのか」
「嘘っ!」
「本当だよ。鈍感」
「私も……あんたのこと好き!」
顔を真っ赤にして叫べば、彼は鼻で笑う。
「知ってる」
背伸びした彼は私の頬にキスをして去って行った。
end
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