私はノリがいいです

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ある日の放課後、私はなんとなく教室に居残って携帯をいじっていた。 誰もいない教室に座っているのはなぜか落ち着く。 することもなくゲームをしていれば、後ろから人の気配。 「よお、暇人!」 同じクラスの男子が立っていた。 ヤツとはイタズラ好きの私と何気に気が合い、いろんな悪巧みを計画している。 「暇人に暇人って言われたくない」 「それもそうだな」 「でしょ?」 ……ここにいても暇だしなぁ……服でも買いに行こうかな。 いっぱい買いそうだから荷物持ちに付き合ってもらおう。 「なあ、付き合えよっ!」 「おお、奇遇!私も言おうと思ってた」 「本当か?!」 嬉しそうに笑う彼を不思議に思ったが、特に突っ込んで聞いたりはしない。 「それじゃあ、さっさと行こう」 「行くって?」 彼は何かに感づいたのか……冷や汗を流している。 「買い物。さっき言ってたじゃん」 そう言えば彼は酷く落胆したようで、目の前にある机に手をつきブツブツ言っているではないか。 怖い。 「俺が言ってるのは"カレカノにならないか?"っていう"付き合って"だよ」 「ああ、そっち?いいよ」 「……お前意味分かってる?」 不満そうに聞いてくる彼の心理がどうしても理解できない。 「あんたは私が好きだから、恋人として付き合ってほしいんでしょ?」 「あっあってるけど……いいのか?」 「さっき"いいよ"っていったじゃん」 人の話くらいちゃんと聞いて欲しいと思ったが彼の場合はいつものことで、一々気にするのは無駄だ。 「お前は俺のこと、どう思ってるのか?」 「好きだけど?」 私は好きじゃなきゃ付き合ったりしないのに…… 「なんか緊張感ないよな」 「緊張感?こんな調子の私達のほうが"らしい"じゃん」 「確かにそうだけど」 「それに私、こういう緊張感は苦手なんだよね」 「そっそうだよな!」 「じゃあ、買い物行こっか」 さりげなく彼の手を引っ張るように繋げば、戸惑ったように彼は真っ赤になった。 「―――っ?!」 「……なによその顔。なんか文句でもあるの?」 「いやっ……」 動揺しながらも歩いている彼を可愛いと思ってしまう。 当分からかって遊べそうだ。 END
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