始まり

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ある日突然兄貴に連れていかれた場所に、彼女は待っていた。 『貴女は?』 僕が聞くと、彼女は 『立花 咲楽です。』 と、言葉少なに そして、とても優しい声でそう答えてくれた。 どうやら、兄貴がオレをここに連れて来たのは、彼女に会わせることが目的だったらしい。 兄貴の話によると、彼女は失恋して間もないらしく、どうにか立ち直らせてほしい という。 そんなことをいきなり言われても、オレには彼女の話を聞くことしか出来ず、気が付くと午後10時を回っていた。 彼女は 『明日も仕事が入っているので、夜も遅いし、今日はこの辺で……』 と言われて、帰り際に彼女に “またいつか会ってもらえないか?” とのことだったので、オレは 『オレなんかで良ければいつでも』 と答えて連絡先を交換した。 あの日初めて、君とオレは顔を合わせた。 今思えば、これが全ての始まりだったね。
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