第一章

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黄色の髪。 赤く大きなリボン。 黒い服に身を包んだその姿は間違いなく人間の少女。 「えっと…ルーミアちゃん?」 妖怪と聞いてからどう想像しても、異形しか浮かばなかった。 「うん。昼間からいるお姉さんだよねー?」 頭のなかで誰かが私に囁く。 疲れなんか気にならない。 腰をあげる。 「そうだよ。 はじめまして。 朱川奈々子っていいます。」 彼女に歩みより、 そして、 「そーなのかー。やっぱり人間だー。」 彼女を、 「ルーミアちゃん……… ごめんね。」 抱きしめる。 「かわいいいいいいい!」 もうね… メロンメロンです。 うりうりうりうり。 「わはー。お姉さん、くすぐったい。」 抱きしめるに留まらず、いろんなとこをさわっていたようだ。 そんな反応もかわいい。 うりうりうりうり。 「ひあっ!お、お姉さんっ!」 やりすぎた…。 今までにない危機感が混ざった声で我に帰る。 「あっ、ごめんね。」 「びっくりしたのだー。」 ルーミアちゃんを解放する。 見れば見るほどかわいい。 知らずの内ににやけていたらしく、ルーミアちゃんが私の顔を見てまた少し怖がっている。 落ち着こうか…。
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