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「改めてはじめまして。朱川奈々子です。」
「そーなのかー。ルーミアだよー。」
「そーなのかー。」
月の下、昼間に出会ったお互いを初めて見た。
「人間だなー。なんでおいしくなかったんだろ?」
不思議そうに私を眺める。すると、あることに気付いた。
「あっ!奈々も髪が赤い!」
だれもが言うこと。自分でもびっくりするくらい、髪が赤い。特別なことが無い限り私はこれをポニーテールにしてる。
「へへー。変でしょ?」
「ううん。綺麗だと思うし、髪が赤いの、奈々だけじゃないの。」
へぇ。今まで私以外の赤い髪なんて漫画とかでしか知らなかったなぁ。それより気になるのは、「奈々」って呼んでくれてる。嬉しいなぁ。
「同じ人がいるの?会ってみたいな。」
「会いに行く?」
………ごめんね。もう、立てない。足が棒。苦笑いしながら、
「あ、明日にしよ?」
と言うしかない。
「そーなのかー。」
素直な子だ。妖怪なんて信じられない。けど、昼間の彼女が人外を表している。闇を出せる人間はいない。見かけで判断なんかやっぱりできないんだなぁ。
にしても
「とても静かで綺麗だね。」
「いつもこうだよー。昼間は氷の妖精とかで騒がしいよー。」
やっぱり妖精もいるんだ。
―その事で一つ考えたことがある―
「奈々はこのあたりにも来ない人間なんだねー。」
「うん…初めて…ここに来た。」
神隠しなんて言っても言わなくても、たいした事はないと感じたから言わなかった。
―ルーミアちゃんを見て、それは固まった―
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