~出会いはいつでも突然で~

4/12
前へ
/146ページ
次へ
父は母親が亡くなる前にいなくなってしまった。 最後に見たのは、玄関での話し合い。 父の隣には綺麗な女の人が立っていた。 何を話していたか分からなかった。 しかし、その様子を見ていてすぐに分かった。 父はもう帰って来ないって……。 母親は玄関のドアが閉まると同時に膝をついて泣き始めた。 「おかあさん、どうしたの?」 泣きながら、母親はこう言ったんだ。 「お父さんがね、いなくなっちゃったからとっても悲しいのよ?」 涙をいっぱい流し、そう喋っている姿にその時は首を傾げていた。 あの時は、俺も馬鹿だったなぁ…。 それ以来、父とは一度も会っていない……。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加