全力でアピール

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.  いつも通り昼食後は階段でカイトと別れ、教室に戻る。金泉らに声をかける間もなく昼休み終了のチャイムが鳴り、午後の授業を必死にこなした。来週からテスト週間とあって、クラスメイトらも真面目にノートを取っているようだった。優秀な家庭教師のいる俺は恵まれている。  放課後、イチャイチャしたがる金泉を引きずりながら帰って行く佐渡に手を振り、俺は金泉から借りたノートを眺めて一時間を過ごした。鞄を引っ提げてカイトが迎えに来る頃には、教室に残っている生徒も俺ひとりになっていた。  ふたりで並んでカイトの家へと向かう。途中、コンビニに寄って飲み物を買い込み、自宅にあらかじめ遅くなることを連絡しておいた。 「そういえばカイト、沙穗ちゃんは大丈夫か? また昨日みたいな男たちがいたら……」  カイトの部屋で乾いた喉を潤しながら、気にかかっていたことを尋ねる。家に着いてから聞くというのもおかしな話だが。 「沙穗は金泉のところにいるとメールがあった。なぜか金泉から恨みのメールが来てたが……なんだ?」 「あー……、うん、なんだろね」  いや、わかる。どうせ帰りのときの様子からして佐渡を家に連れ込んでイチャベタするつもりでいたのだろう。テスト勉強を口実に手取り足取りいらないことまで教え込むはずが、その予定を狂わされてむっつりしている様まで目に浮かぶ。そういう奴だ。  沙穗ちゃんはまだ金泉が好きなんだろうか? あの三人の関係が今どうなっているのか想像すると、少し好奇心が疼く。 「まあ、沙穗ちゃんが無事ならいいや」  あの金泉がやきもきさせられているかと思うと胸がすくし、もっと邪魔されればいいと邪悪な気持ちにさえなった。今は彼らよりも試験が先決だ。恋にうつつをぬかす金泉は、成績上位から転落してしまえ。
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