全力でアピール

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 翌日、登校してすぐ金泉に渡り廊下へと連れだされた。  寝不足の目に朝日が厳しく、俺はしょぼしょぼする瞼をしきりにこすりながら、目の前に立つ金泉を見上げる。 「なんだよ、こんなところに引っ張ってきて」 「用件なんてわかりきってるでしょ。で? 昨日のボクのヒントでなにかわかったことはある? ないなんてこと言わないよね」  もちろん、金泉の言いたいことはわかっているつもりだが、彼の期待する返事を用意できているかと言われれば答えはノーだ。  結局俺は自分の行動を反省するばかりで、今後をどうするかなど考えられていない。 「はあ……その様子だとなにも考えていないみたいだね。ヒーローくんって常々鈍感だと思ってたけど、単に面倒くさがりなだけなのかな。カイトなんかは変態的な行動に出ちゃうくらいきみに心奪われてるっていうのに、きみは全然揺らいだりしないんだ?」 「そ、そんなことはないけど……」  あれだけあからさまに好きだとアピールされて、当たり前の顔で無視し続けていられるほど俺は人でなしではない、はずだ。  ただ、応えようにも俺の中で答えが見つからず、カイトを嫌いではないからという理由だけで甘えてしまっていた。それがカイトのことを無視していたのだとしたら、確かに俺は最低な鈍感野郎なのかもしれない。 「俺さ、カイトのこと友達としてならすっげえ好きだと思うんだよ。でも恋愛となるとよくわかんなくて……。男同士だしさ、沙穗ちゃんのときみたいにドキドキもしないし」    ある意味ではドキドキしっぱなしだけど、それはなにをされるかわからない緊張からくるドキドキだ。ホラー映画を見るときのような不安によるもの。  カイトといるとき、俺は普段通りの俺でしかない。カイトみたいに四六時中相手のことで頭がいっぱいになっているということもないし、沙穗ちゃんのときのようにキュンキュンしたりもない。  そんな俺がカイトを受け入れたりなんかしたら、余計に彼を傷つけることになるのではないかと告げると、金泉はふうとため息をついて腕を組んだ。
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