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「ほんと、いつまでたっても落ち着きのない小猿だよ。アンタ、海斗のこと探してんでしょ」
「なんで知って……」
「そんなの、さっきから聞いてたからに決まってるだろう? オレのクラスでもあるんだ」
「立ち聞きなんて悪趣味ですね。それで? わざわざ俺の首を絞めてまでなんの用ですか」
俺たちが繰り出す嫌味の連発に引いた女子生徒は、早々に場を立ち去っていった。
俺は斑目と向かい合い、じりじりと後退していく。
「むしろ用事があるのは君のほうなんじゃない? 海斗の居場所、オレ知ってるよ」
「なに……っ?」
いったいどこに?
それまで逃げ腰だったにも関わらず、カイトの名前を聞いた瞬間あからさまに反応する俺を、斑目はにんまりと見下ろした。
「知りたい?」
「いや、べつに……」
「知りたいんだよね?」
「知りたいってほどじゃ……」
「正直にならないと教えてあげないよ」
「……どこにいるんですか」
観念して尋ねると、斑目はよくできましたと双眸を細めて小首を傾げる。
「海斗はね、棗先生に呼び出されて教員室に行ったよ。なんの用だろう? そういえば、あの人って海斗をえらく気に入っているよね」
「ありがとうございました」
気持ちのこもっていない礼を述べ、俺は即座に行動に移した。
いつまでも斑目になんて関わっていたくない。
元来た道を戻り、さらに階段を下りていって職員室前までやってくる。
まだ中にいるのかどうかわからず、丁度室内から出てきた教師に声をかけてカイトの在処を聞き出した。
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